私が高校生の時、当時の数学の先生が、授業中に唐突に発した言葉が、今日の日記のタイトルだ。
連日、雨が降ったり止んだりの悪天候で嫌になる。
私の仕事は屋外作業だが、天候は一切関係ない。雨でも仕事。中止や延期は無い。
冷たい雨に打たれながら、仕事中に思い出した。
私のお気に入りだった数学の先生を。
高校生活は退屈だった。クラスメイトに馴染めず、孤立していた。当時は、卒業の日を指折り数えていた。卒業が待ち遠しい、そんな日々を過ごしていた。
退学したかったが、両親を落胆させたくなかった。だから、遅刻や欠席もしなかった。
我慢しながらの学校生活。
今の私なら、両親の顔色など一切気にせず、さっさと辞めていただろう。
そんな高校生活の中で、僅かな楽しい思い出が、数学の先生だ。
彼は当時、50歳前後だったか。実年齢は知らないが、真面目で堅物。それが当時の私の第一印象だ。
授業中に無駄話は一切しない。淡々と授業をすすめる。
そんな先生が、ある日の授業中、窓の外で降る雨を眺めながら、唐突に言った。
「皆さん、雨は好きですか?私は好きです」
教室が静まり返った。皆、どう反応していいのか分からなかったのだろう。
私は一瞬、固まった。その後、思わず声を上げて笑ってしまった。我慢出来ず、お腹を抱えて笑った。
「先生、突然どうした!?」
真面目で堅物だった先生への印象が、大きく変わってしまったが、授業はとても分かりやすく、私にとっては良い先生だった。
先生の質問に今、答えるならば・・・
「嫌いです」
清掃員の私にとって、雨など仕事の邪魔だ。早く止んでくれ。連日、そう思いながら仕事をした。
退屈極まりない高校生活だったが、あの高校に入学しなければ、先生には出会えなかった。
授業をサボっていれば、先生の名言は聞けなかった。
笑える時も確かにあった。卒業まで我慢して良かったのかもしれない。今はそんな気もする。